[35] 伝える 2004/08/31 02:03:41 

今年の夏は台風の当たり年ですね。そして明日は8月31日、夏休みの最後の日です。
健康診断でひっかかった「再検査」も、今年の夏こそは、と思っていた慢性の鼻づまりの治療も結局何もできなかったし、体力つけるために毎日、運動しようと決めたのに一日だけで終わったし、英会話もはじめるぞ!なんてそれこそ三日坊主を絵に描いたような有り様。こんな風に41歳の夏はやはり、少しむなしく過ぎ去っていきます。

そんな中でも一番時間を割いて取り組んだのは、楽譜を読むことでした。特に、8月21日の朱雀オケのブラ2の勉強に時間を使いました。
慣れていて読むのが早い人なら3日もあれば十分に読めるんだろうけれど、私の場合は能率も悪くって同じ箇所をぐるぐる戻っては進み・・・を繰り返してしまっていました。

それでも自分なりには十分な準備をして練習に臨んだつもりでしたが、合唱の練習とは少しだけ勝手が違って、練習そのものの組み立て方もイマイチ掴みきれないまま、シドロモドロ状態でした。「ソロパートの扱い方」や「体力的なことに対する配慮」がかけていることなどを指摘され、おまけに「言葉遣い」に対しても注意して欲しいとの意見があり、はっきり言って、ちょいとめげかけていました。
しかし冷静に考えれば当然のことばかりで、普段、合唱の練習の時にでも気をつけなければならないことだと気づかされました。

もともとこのオケは私が以前勤務していた県立平城高校の音楽部(弦楽部+吹奏楽部)の卒業生が発起人となって起こったグループです。その当時から県内の公立高校では唯一のオーケストラを持つクラブでしたので、私も定演ではオーケストラ(らしきもの)の指揮をしていた経験はありますが、厳密に言えばオケを振るのは今回が2回目。ま、そんなんでブラームスを振るっていうんだから、笑っちゃいますよね。

集まったメンバーは音大や学生オケで十分に経験を積んだ者が多く、それゆえに一回の練習にはそれなりの「クオリティー」を要求してきます。こちらも求める音のイメージは持っていますが、それをプレーヤーに伝える具体的な方法論を持っていません。これは、言葉の通じない相手と会話をしているのと同じ状態です。

想いだけでは伝わらない。それを伝えることのできる技術の必要性。しかしそれは、他の何も真似ない、他の力に頼らない、誠実な自分自身の言葉であるべきこと。
このことは例えば、密かに想いを寄せる人にその気持ちを届けることにも似ているかもしれません(いや、少し違うと思うけど)。
偶然作られたシチュエーションの中で、時には酒の力も借りながら(?)、真っ白な心で精一杯、真面目に伝えること・・・たとえ、ちょっとだけ不器用な言い方でも、それが相手に伝わるのは、伝えるための本能的な「テクニック」をきっと誰もが持っているから。

このオケに「次回」があるのかどうか、全くの未定ですが、少なくとも私はたくさんのものを学びました。単に「オケを振れる」ことの喜び(もちろんそれは子供の頃からの夢でしたが)では終われない「指揮」そのものの存在理由に気づいたことも大きな収穫でした。

練習の中で悩んだ、伝えることの難しさは、最終的には音楽そのものを、聴く人に届ける難しさにつながっていくんだろうけれど、そのことを忘れたり、避けたりしてはいけない。「アマチュアだから・・・」といういい訳ももちろん通じない。

「想いを伝えること」にこの夏、私はやはり思い悩みましたが、決して諦めたくない、と強く強く思いました。そして同時に「少しでも伝わっていれば・・・」と。
祈るような思いです。

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