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[80]≪第16回演奏会パンフレット挨拶文≫(2018/07/16 21:17:32)
 創団35年。振り返ってはっきり言えることは続けることは難しく、しかし続けてきたから見える世界があるということ。
 合唱人口の減少が口にされるようになって久しいですが、合唱界が豊かな人材で支えられるためには、個々の合唱団がその活動の質の高まりによって育たなければ実現しません。それを育てるために必要な肥やしは「楽曲」です。つまり活動の中でどの曲に出会うかということが重要で、とりわけ大切なことは、歴史の中で認められ残り続けた真の名曲を私たちの全器官、全感覚を通して音にすることだと思います。どの分野でもそれに精通するために基礎・古典を学ぶことの必要性は疑う余地がありません。ひとつの「形」を知ることで探求の欲求がおこり、自らが成長したいという気持ちに繋がる。さらにそこに生きる人と繋がり、愛情をもって共に育ちたいと願う。その継続的、発展的な思いこそがあらゆる「世界」を支えるのだと思います。もちろん私たちもその願いを持ち活動を続けています。今回の演奏曲も歴史に愛された名曲ばかりを集めました。「水のいのち」は日本の合唱史に残る作品ですが、若い団員にとっては初めての出会いとなりました。次代を支えてくれる彼らと一緒に私自身も新たな気持ちで取り組んできました。
 若い彼らが生きるこれからの合唱の世界は豊かで恵まれたものです。出来ることなら私も生まれ変わって彼らと同じ時代を生きてみたい、と思うほど魅力的です。無辺際に拡がる音楽の地平をいつまでも一緒の目線で見つめ追い続けていきたいと思います。
 「ここで歌い、ここに生きる」。シェンヌがそこで歌う者、聞いてくださる方にとって音楽が示す豊かな意味の、その共感の場であり続けたいと思います。
 本日のご来場に心から感謝申し上げます。

2018年7月15日(日)
主宰・音楽監督 上西一郎


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